A.B.B_2

A.B.B no1/no2

また"Gregg Allman"がNancyへやって来た。
1)Gregg Allman Bandのライブ

 3月のある日、ボトムラインのK氏から電話を頂戴し、4月にGregg Allmanがソロでやってくるお知らせをいただきました。
 突然彼がやってくることにびっくりしたことと、来日までに数週間しかなく、しかも誰が一緒に来るのかも決まっていないようだったので、うれしいと思うと同時に大丈夫かなあと心配になってきました(1977年のソロ・ライブはメチャクチャ評判が悪かったから・・・)。
 今回は、博多、東京そして大阪公演が予定されていて、私はk氏のはからいで東京の「Blue Note」で初日(4/20)の演奏を観に行くことにしました。
この会場は、約150人ぐらいで満員になるぐらいの広さで、彼のライブは1日2回公演だったのですが全てソールド・アウトでした。
 来日メンバーは次の通りです。
 The players in Gregg Allman & Friends are:
 Gregg Allman - Hammond B-3, acoustic guitar & lead vocals
 Jimmy Hall - Sax, harp & vocals(ウエット・ウィリーのヴォーカリスト)
 Mark McGee - Guitar
 Tom Miller - Bass & vocals
 Tommy Thompson - Piano, synth & vocals
 Preston Thrall - Drums
 Floyd Miles - Percussion & vocals

ステージ上のGreggは、以前2回The Allman Brothers(以下ABB)で来日した時と違い、とてもリラックスしていて、メンバーともうまくいっている様子だったので、演奏内容も良く一緒に行った仲間達も全員満足していました。

 演奏曲目は、[I'm no angel]ソロ時代のヒット曲で始まり、ABBの[Midnight Rider](但しソロ・バージョン)、[Melissa]、[Trouble No more]、[Statesboro Blues]、それに最近のソロ・アルバムから[Whippin' Post](8ビート)、[House Of Blues]、[Love The Poison]、[Dark End Of The Street]などで、ハモンドオルガンB−3やアコースティック・ギターを使って1時間30分ほど演奏してくれました。
 また、Floyd Miles氏が[Born Under A Bad sign]など2曲、Jimmy Hall氏の[Keep On Smailin']など2曲それぞれ披露してくれ、これらも凄く良かったです。

2)ギターをプレゼントされる

 私は、今回ABBを長く面倒を見ているKirk Westさんが一緒に来なかったこともあって、こちらからあえてGreggへコンタクトせず、1回だけ観るつもりでいました。
 ところがライブを観た翌日、思いがけずGreggのほうからエピック・レコードの人を通じてコンタクトして来てくれたのです。
 「Greggさんは、あなたへ是非ギターをプレゼントしたいと言っています。どの日のライブでも招待するから都合の良い日に来てくれないかと言われています。」とのことでした。
 彼と会う前日、Greggからギターをプレゼントされることを自慢げに国内やアメリカの仲間に話すと「そりゃあ多分、Washburn社のMelissa Modelだよ。きっと!」と全員が口を揃えて言っていました。でも私は、「できれば兄貴のDuaneのギターだったらいいのになあ!」と好き勝手な方に期待していました。「なにしろ前に会った時に彼は兄貴のGibson社のSGstdを2本持っていると言っていたからなあ」と想像が膨れ上がってし
まいましたが・・・・、でも、そんなことよりも本当は彼が私を覚えていてくれただけでもとてもうれしかったです。
 後でエピック・レコードの人が言っていたのですが、Greggは会う人会う人に「Nancyを知らないか?」と聞いていたそうで、たまたま昔の同僚がプレイヤー誌のインタビューで会った時に私の話をして彼が「やっと見つけた!電話番号を教えてくれ。」と興奮していたそうです。うれしいですね。

当日ライブの後、バック・ステージへ仲(ギター・ワールド店長)、それにIさんと入っていくと、Greggが「Hey! Nancy!」と手招きしてくれ、再会できたことをお互いに喜びあいました。
以下、その時の会話です。

Gregg :「以前会った時は、ヒゲをはやしてロングヘアーだったから、そのイメージでステージからお前を探していたんだぞ!見つからないはずだ!今はヒゲもないし、髪も短いし。」

私  :「そうだね。何しろ6年ぶりだからね。でも覚えてくれて嬉しいよ。」

Gregg :「何言ってるんだよ、当たり前だろ。まあ、何はともあれ、良く来てくれた。こちらフィアンセのSだ、よろしく・・・。」
「今回ギターをプレゼントすることを言いたくて来てもらったんだけど・・・、」

私  :「本当!」来た!来た!

Gregg :「Washburn社のMelissa Modelって知っているかい?」

私 :「勿論、知っているよ。」(予想は外れたけれど、やっぱり嬉しい!!)

Gregg :「今回は持ってきていないけど、すぐに送る手配をしているから。この
モデルのシリアル番号12番迄俺が実際にサインしたんだけれど、その中の数本をWashburn社がくれた内の1本をプレゼントするからね。」

私  :「有り難う!」

 ということで、最終的に打ち合わせして私のアメリカの友人に取りに行ってもらうことになりました。

          (中 略)

Gregg :「又、Nancyの店へ行きたいけれど、名古屋ではすぐにいける距離ではないから残念だなあ!」(前回彼は名古屋店へ来てくれた)

私  :「いやいや、ホテルから車で15分のところに東京の店があるから、明日昼間もしよければ来ないか?Sさんもご一緒にどうですか?」

Gregg :「Why not!」

 ということで、WhiplashのCDをプレゼントしてから(GreggはWhiplashとwhippin' Postを交互に早口言葉のように言っていました)、次の日に又会うことを約束してBlue Noteを後にしました。
帰る途中、仲が「やっぱり、Melissaでしたねえー!」、Iさんが「Duaneのギターなわけないでしょ!」と言っていました。でも、私にとってはどのギターでも良かったのです。うれしいにことに変わりないです!!

3)Nancy Guitar Worldへ

 翌日、ホテルへ彼らを迎えに行き、ギターのMark、ベースのTomそしてパーカションのfloydも連れて店へ向かったのです。

 ギター・ワールドについてさっそく、Gregg達は店の壁に飾ってある兄貴そして自分たちの写真やエリック・クラプトン、ZZTopのサインや写真を興味深そうに見入っていました。

以下、その時の会話です。

Gregg :「このギター(Les Paul Junior 1960 ch)は、兄貴が最初に手に入れたギターなんだ。ダブルカッタウェイのやつ。兄貴は、後で色々改造してしまったけどね・・・。うーん、想い出深いギターだ。」
Sさん:「へーえ、」
Tom:「あのフェイスタ・レッドのJazzBassオリジナル?」
仲  :「そうですよ。音出ししますか?」
Tomは夢中になってベースを弾きだす。次にヘフナーのベースを指さして、
Tom:「これって、ポールと同じ物?すごいねえ、初めて見た。1963年製なんてすご過ぎる」Markが50'sのストラトに興味を持っていたので弾いてみるかと聞いてみると、
 
Mark :「もう、毎日いっぱい弾いているからいいよ。」 といいながら、'55のストラトを軽く弾いて。

Mark :「いいねえ、とても音の切れが良いねえ!」 といっぱい弾いていました。 それから、'57Lpstdを弾き出してMark :「これも良いねえ!素晴らしい!」と、帰るまでずっと弾いていました。
 彼もやっぱり好きなんだなと嬉しく思いました Floydは、何だかフェンダー・ジャパンの腕時計に興味を持って「あれをはめさせてくれ、これもはめさせてくれ」と、彼は手が大きいのでなかなか合う物がなく苦心していましたが、やっと合う時計を見つけて買ってくれました。

 Greggは、そうしたみんなを見ていてすごく嬉しそうにしていました。
そして、ジャガーを見て一言。
Gregg :「あのジャズマスターはとても扱いにくい。えっ、ジャガーっか?まあいずれにしろ、あのスイッチやつまみがいっぱいついていて今どのポジションで音が鳴っているか分からなくなってしまうギターは苦手だ。昔、1961年製か1963年製のジャズマスターを持っていてあまりに面倒なので1963年製のグリーンのストラトと交換してしまったことがあるんだ」    
Gregg :「そのギターは、音色も色も両方とも良かって気に入っていたんだけれど、後で周りを白で塗ったことが良くなかったね。まったく格好が悪くなってしまい、最後は誰かにやってしまったんだ。」(多分サンバースト見たいに塗ったと思います)。

 次に1948年製Gibson L−4を指さして、

Gregg :「このギター、雰囲気がいい。俺より1才年下だな(Greggは1947年生まれ)。」

 私が壁に掛けてあるL−4を彼に渡すと、[Win, Lose Or Draw]をそのギターを弾きながらいきなり唄いだしたのです。
 「うーん、」と全員参ったって感じ!この曲は、どのブートレッグにも収録されていないし、聞けただけでも鳥肌もんで、みんなすっかり子供に戻って聞き入っていました。

4)Whippin' Post

 話を変えて、かねて私達の仲間内ではWhippin' PostというGreggの名曲のコードはAメイジャーかAマイナーなのか話題になっていることがあり、いったいどちらが正しいかこの際聞いてみることにしました。
 ビデオを観ると、Greggの歌の主旋律はマイナーなわりにはディッキーさんはメイジャー・コードを押させているし、どちらが本当かはっきり判断できないのです。ちなみに先日のライブではGreggはAマイナーを押さえてギターを弾いていました。

Gregg :「それりゃあ・・・、あの曲のコードはCだ!」
私達 :「えっ?」
Gregg :「こうだろ。Cコードで次にBm7それからCだろ」

 と、弾いて見せてくれたのですが、あまりにも意外な答えだったのでびっくりしました。彼は私達が納得していない様子を見て、又説明し始めました。

Gregg :「いいかい、CとAm7とは同じ音だからどちらでもいいんだ。次の展開はDだろ。それから・・・」

 多分、彼は普段この曲をオルガンで弾いているのでコード分解をこう解釈したのではないかと思います。従って、私達の疑問はまだつづくって感じ・・・?

 私達は、ただ最初のコードを聞きたかっただけだったのですが、彼は丁寧に最後までのコード進行を私達に教えてくれたのです。やさしいですね。

★兄貴のレスポール

 Greggは兄貴のレスポール(例の有名なタバコ・サンバースト)の写真に目が止まり、何か感慨深い顔をしていたので、ギターのことを聞いてみることにしました。

私  :「Gregg、この写真のギターは兄貴の物だよ。」

Gregg :「ああ、わかっているよ。うーむ・・・。」

私  :「この写真はネック折れ修理をした時に撮ったそうで、随分昔に高く買わされたんだよ。多分Greggが修理に出したと思うんだけれど・・・、ところでどういう状況でネックが折れてしまったんだい?」

Gregg :「あれは70年代にツアーをしている時、ツアーバスの運転手が急ブレーキをかけた時に一緒に積んであった他のギター3本とアンプが倒れてきてその下敷きになってしまい、折れてしまったんだ。うーむ・・・。」
    
 それから、GreggはSさんに自分や兄弟にまつわるギターについて色々説明していました。

★帰る途中

 そろそろ、ホテルへ戻らなくてはならない時間になったため、ギターやアルバムにサインをしてもらい送っていくことになりました。
 車中、Greggはすごく上機嫌で、息子のDevon Allmanのことを話し始め、彼が加わっているバンド「Dark Horse」をみんなに是非聞いてくれと言っていました。そして、絶対がっかりさせないバンドだからと太鼓判を押していました。
 Devonは歌がメインで他にセカンド・ギターとキーボードを弾いているそうで、ABBのホームページで観るとGreggの若い頃そっくりです。
 とりとめない話が続いていく中でホテルに到着し、車を降りたGreggは別れ際に「大阪へは来ないのか」とか、「これから始まるABBのサマーツアーへ来ないか」と誘ってくれたり、相変わらずやさしい男でした。

最後に、私には、GreggにScott Freeman氏の著書「Midnight Riders」に書いてある彼の自分勝手でいい加減な男のイメージを感じたことはありません。人の受け取り方によって様々な評価が違うと思いますが、彼は気分屋なところはあるかもしれませんが、いつも紳士的な行動を忘れるようなことはありませんでした。
 彼のスターとしての振る舞いは当然のことですが、いつでも誰にでも気軽にサインに応じていましたし、プライベートでは人なつこいアメリカ南部のおじさんという感じです。それは、今回前にも増して感じた事ですし、後でSさんと食事を買いに行った時に言っていましたが、彼は今年50才になったことで、すごく自分の生き方と健康に気を使っているそうです。例えば、酒はこの1年一滴も飲んでいないし、タバコの本数も極端に少なくしているそうです。
だから、声も以前に増して良くなっているし、彼の目も前よりずっと輝いています(Sさん談)。
 Sさんは、Greggがツアー中にこんなにリラックスした顔をあまり人に見せないことに驚いていて、本来私達が感謝しなければならないのに逆に感謝されてしまいました。
Greggからナンシーの仲間の皆様へメッセージをいただきましたのでご紹介します。
 
 終わり。




Greggからギターが届きました。