去る、2月19日ライブスポットPagodaで開催しました「Vintage Guitar Sound live in Tokyo」へ、たくさんの方にご来場いただきまして誠に有難うございます。この場をお借りして御礼申し上げます。今年も、数ヶ月に1回の割合で開催してゆくつもりでおりますので、よろしくお願いします。
さて、ライブの模様ですが、今回はT.Z.Kingが古いGibsonでディープなアコースティック・ブルースをオープニングで披露してくれました。
彼は、ブルース、レコードそしてオーディオについて実によく研究していて、誰が何年にどこで演奏したとか、使っていた真空管は何とかなど・・・、普通の人ならそこまで研究しないだろうというところまでも知り尽くしています。しかもそれだけに留まらず、オリジナルのレベルまで自分の演奏テクニックをレベルアップしようとする努力には頭が下がります。今回も、彼はロバート・ジョンソンのクロスロード・ブルースを演奏する前に、「ギターを同じように弾けるまでに15年かかり、ギターを弾きながら唄を歌えるまでにさらに10年かかった」と、この曲を演奏するのがいかに大変だったかを語っていました。本当に難しいのか?単にT.Z kingが不器用なだけかは計り知れませんが、それを聞いていたブライアンが翌日会った時に、東京弁で「へ~ぇ、何かい?ブルースっていうのはそんなに難しいんかい?そりゃあ、まるでウナギの蒲焼職人みたいだね。串通し何年、焼き方何年・・・みたいに、それを得とくするために時間がメチャメチャかかるんだ!!!!!!!!!!」と、聞いているこちらがムカツクぐらいオーバーに驚いていたことが、私にはとても印象的でした。
次に私達ライス・フィールドの登場です。今回使うSt’54とLPstd’52は東京では初登場だったので、皆さんにストレートな音を聴いていただけるように、曲の前にそれぞれギターソロのコーナーを設けることにしました。
準備は万端。アグレッシブに弾くために3曲も新曲を用意したし、以前の曲もホットに演奏できるようにアレンジし直しました。ギターも、勢い余って弦が切れても大丈夫なように、2本の他にアンコール用のディッキーベッツLPモデルも持参しました。Fさん自作のDuaneと同じケサで作ったようなストラップなど小物も用意しました。リハーサルで音量バランスもバッチリ。あとは、ソバを食べて本番まで待機するだけだったのです。
ステージに上がって、まずSt’54を昔から使っている60’sブラックフェイス・デラックス・アンプにプラグイン。Amベースのソロを弾き始めました。 う~ん、いい音だ~ぁ!すっきり、くっきり。この音だったら先々週の名古屋に引き続き、今日も思いっきり弾けそうだ!と私はやる気満々。
ところが・・・・、そうは問屋は卸してくれません。1曲目を演奏しているうちに何か嫌な音が混じり始めたのです。音が少し割れているではありませんか!まあ、それでも何とか聴ける音だったので気を取り直して演奏を続けましたが症状はドンドン悪化の一途。とうとう2曲目の演奏途中に低音弦を弾くと常にバリバリという音が出るようになってしまいました。
どひゃぁ!こりゃ駄目だ!このまま続けては、いかがなものでしょうか?と、ズグズグな気持ちで、客席にいたToolbox茂木君にアンプを見てくれるよう頼むことにしました。すると、彼は「俺、知らない!仲~ぁ、お前見ろよ」と言って、いい気にビールを飲んでいるではありませんか。まったく彼は席を立つ様子がなく、代わって仲がステージに上がってきてくれました。彼は、真空管や真空管のソケットをいじって何とかノイズが出ないように努力してくれましたが、ちっとも良くなりません。業を煮やした彼は、「真空管アンプの応急処置はこれに限る!」と言って、グーでアンプを2、3回ぶっ叩きました。やっぱり効くんですね、これが!ノイズはなくなり、又演奏を再開する事にしました。途中で又ノイズが出てきて、今度は茂木君が見てくれて何とか最後まで演奏できました。
ステージは、ST’54から途中でLPstd’52に持ち替えて、フェンダー・シングルコイルとは違ったギブソン・シングルコイルp-90の音の良さを再確認していただいた後、もう一度ST’54を使ってロングソロを弾き、双方の音の違いを楽しんでもらいました。
アンコールは、まずT君にLPC’593PAFでマホガニーとエボニー指板の暴れない歪みの音をご披露していただき、次に6年ぶりにアメリカから帰ってきたM君にLPstd’59を使ってもらって、Statesboro Bluesのディッキーさんパートを弾いてもらいました。私はデッキーベッツLPモデルでDuaneのスライドパートを弾きました。
もう最後にしようと思ったら、客席で「僕は?」と仲が弾きたそうな顔をしていたので、しょうがないなあ「弾く?」と仕草をすると、「えっ?僕が・・・ですか~?」と人差し指を自分の鼻に向けていながら、躊躇せずにステージに上がってきました。演奏はご想像の通りです。彼はB型ですから・・・。
しかし、ライブというのは、何が起きるかわかりませんね。まったく予測がつきません。演奏の出来にしろ、アクシデントにしろ、昔グレイトフルデッドが”Without Net”というタイトルでツアーをやったように、ライブはサーカスでネット無しで綱渡りするようなものですね。山川さんのニューヨークレポートを読んだ時、まさか次の週に私もボ・ディドリーと同じようなことを経験するとは思っていませんでした。
最後に、そんな申し訳ない状況下でも、最後まで暖かく見守っていただきました会場の皆さんとPagodaのスタッフの皆さんに感謝いたします。
Better Days
ps:T.Z.Kingとは、時折この「四方山話」に登場するレコスケB.B.田付さんのことです。ブルース界の3kingが大好きなため、かなり理屈っぽく語る田付さんを見ていた仲が命名した名前です。タズキングと読んでください。
おそらく、又「くだらん!」と彼からメールが来る事でしょう。
ps:下記の日に福岡に住んでいる友人のバンド「LEOTARD SKYNYRD」(レオタード・スキナード)がライブをやります。私も遊びに行くつもりです。宜しければお近くの方は遊びに来ませんか。演奏も凄腕ですが、MCもプロ以上です。
彼らのメッセージが届いています。
「前回同様、本番後のクレームはお断りいたします(笑)。なお、アンコールは謹んでお受けいたしますので宜しくお願いします。」
日時:平成14年3月15日(金)21時頃より
場所:大橋駅東口を出てすぐ左50m先の居酒屋「王国」地階
「クラブ49」092-541-9356
http://www2u.biglobe.ne.jp/~club49/
費用:\1.300 + order + tax(5%)
[番外編]山川さんの最新ニューヨークレポートです。
岸田さ~ん!2月3日から一週間、ニューヨークへ遊びに行って来ました。
旅の目的は色々あれど、どうしても行って観たい場所のひとつに 『B.B.King BLUES CLUB』 が有りました。今日はそこでの出来事をメールします。
ニューヨークに到着したのが夕方過ぎだったため、翌日朝一番にタワーレコードの店頭で、現地の無料情報誌 『VOICE』 を入手し関連ページを探して場所とライブスケジュールを確認したところ、滞在期間中最後の夜となる7日になんとかの有名なBO DIDDLEY(ボ・ディドリー)のライブが有るではありませんか。ちなみにこの時点で私はBODIDDLEYについて名前・黒人であるという事・四角い変なギターを使っているぐらいの知識しか有りませんでした。もう、この日しかないと心に決め、英語に堪能ではない私は予約もせず店のシステムも分からないまま直接店に出向きました。当日券が有るという事なので35㌦を払って中に入りテーブル席で開演時間を待ちました。
ほぼPM8:00定刻にライブは始まりニューヨーカー達は大声援。そして本人登場まではよかったのですが、いきなりギターの音が出ません。すでにバックバンドは、一曲目の前奏を始めて
います。本人が機材と格闘する事約10分間、その間もバックバンドは前奏をひたすら繰り返しています。とうとう業を煮やしたのか、ギターの音が出ないまま歌い始めました。間奏まではそのまま進みましたが、ソロの部分で今度は本人が引っ込んでしまい、その間もう一人のギタリストがひたすらソロでつなぐという展開でその後もギターの音が出ないまま一曲目がやっと終了しました。観てる方もヒヤヒヤもんで、さぞかしブーイングも出るんだろうなと思っていたらニューヨーカー達の暖かい声援。日本のライブならブーイングの一つも出るのでしょうけど、本人のパフォーマンスではなくあくまで機材のトラブルでやむを得ないというお国柄の違いでしょうか?しかしまだギターのトラブルは解決してません。さすがのニューヨーカー達も心配顔で事の推移を見守っています。この沈黙を破って「ボーディドリー最高!」という日本人観光客の声援。「ここまでの展開でなんで?」と私は思いましたが、この異国の地で日本語の声援を聞けたことに少しほっとしました。
やっとの思いで、ギターのシールドを交換する事により今度こそすばらしい演奏が再開され、ラストの曲まで大盛況でした。もともとバックバンドの演奏がすばらしくBO DIDDLEYはこれに乗っかっているだけのような感じでしたが、このバンドの人員構成が興味深く、ベースとキーボードはそのへんを歩いているような白人の中年女性、ギタリストはロック系の白人男性、そしてなんとドラマーはロン毛の日本人男性ということでさすが人種のるつぼニューヨークだなあと感じました。それとひとつ疑問があるんですが、彼のギターは一体どうなっているのでしょう?なぜオルガン・ハーモニカ・トランペット等の楽器の音が出るのか?ギターにエフェクターが入っているという事は聞いた事がありますが、ひょっとして現在はギターシンセなのか?知っていたら教えて下さい。PM10:00から2回目のライブが有るということでPM9:30には演奏は終了しましたが、今から思えばあのトラブルさえなければもう2曲は聞けたのにと思うとすっごく損したような気がします。
余談ですが、5月3日・4日にはDICKEY BETTSさんのライブスケジュールが入ってますよ!一番後ろのバーカウンターでもステージから15mぐらいしかないので、すごくよく見えるしPAもしっかりしてます。都合がつけは是非行って観てください!! 終わり
「ボディドリーのギターについて」
グレッチ製四角ギター(通称ファイブスピード)は、1989年ロン・ウッドと来日した時まで、トレモロ、フェイザー等の音が出ていました。それ以降、ドンドンエスカレートしていって、現在はギターシンセを内蔵して、色んな音をサンプリングしてさらに音種が増えています。 レコスケ2号・ストンプ谷口君談