27. 10月 2000 · [EPISODE 33]○川家の奥様。 はコメントを受け付けていません · Categories: 過去の四方山Episode1〜

今日の午後に店へ入っていくと、○川夫妻、東京の石田さん、そしてイガチャンという初取り合わせの面々が私を待ち構えていて、さっそく先日あった月刊誌ラピタの取材の話題で盛り上がりました。

皆さんに、取材の内容を説明していく中に、”ギターや車など男の趣味的な物を手に入れるためには、常に奥様という高いハードルを超えなければならない”ことや、”ラピタはそういう点で奥様には嫌われ者かもしれない”という話題になったことを話しました。

すると、「そうなの。普通の奥さんはまったく信じられないはずですよ。だって、こんな傷ついたギターが百万円以上もするなんて、私だって初めはびっくりしましたよ。」と、○川家の奥様はここぞとばかり話し始めました。

この○川家の奥様は、ご主人の趣味にものすごく理解されていて、はじめ全くヴィンテージ・ギターのことをご存じなかったのですが、ご主人が興味を持たれて以来、専門書を買いこんで勉強されたそうです。だから今は、彼女から”マリーケイ”の名前が自然に出てくるぐらいストラト通です。

 

話は戻って、その後も奥様が炸裂して、1対5の会話が続きました。その一部をご紹介します。

 

○川家の奥様(以下 奥様):「本当に驚く事ばかり。男の人達って何でこんな古い物がいいのかわからないですよ。だって、こんな物も売リ物なんでしょう。」

と、50’sのチャンプを指差しながら話されました。

 

一同:「およよ・・・。」    ご主人:「あのな~ぁ」

 

奥様:「だって、これが18万円5千円もするなんて!普通は信じられませんよ。もし・・・、18万5千円で買ったって持って帰ってきたら、18万円はどこで使ってきたのよ?と聞いちゃうわ。普通の奥さんならね・・・。」

 

一同:「およよ・・・。」    ご主人:「あのな~ぁ」

 

石田さん:「それは違うな!俺なら18万5千円を5千円で買ってきたと言って、使った18万円のことは黙っている。」

 

ご主人:「そうなのよ。普通はそうなのよ。なっ、みんな苦労してんだよ。」

 

私:「だから、奥さんみたいな理解者はみんなの尊敬の的なんです。」と持ち上げる。

 

(イガチャンと岩永は、この間ずっと話に突っ込めずニコニコしている。)

 

奥様:「そうなんですか。そういえば、主人のバンドメンバーは自分で買ったものを友達に借りていると奥さんに言っていたっけ。」

 

石田さん:「あっ、それは俺も同じだ!」

 

一同大笑い。

 

 

(話は変わってテレキャスターのことに・・・。)

 

奥様:「主人はキース・ファンだけど、私はテレキャスターが嫌い。」

 

石田さん:「 なんで?キース・リチャーズのトレードマークじゃないですか。」

 

奥様:「だって、テレキャスターって、飾り気もなく誰でも作れるような格好をしているから。味も素っ気もない。」

 

一同:「あらまっ!」

 

石田さん:「確かに・・・、格好も音も飾り気はないね。でも、それが男には魅力なんだよな。もっとも、僕も最初は好きではなかったんだけれどね。でも・・・、奥さんもテレキャスターの魅力を理解したほうがいいよ。ご主人喜ぶよ!」

 

と、石田さん得意の語りモードに入ったので、私はとりあえず席をはずして用事をすることにした。

なぜって?以前、仕事が終わって渋谷店を出たら、近くの喫茶店で石田さんが友人と熱くロックのことを語っていた事があり、私達が食事をした後にタワーレコードで十分時間をつぶして戻って来ても、まだ同じように語りつづけていたことがあったからです。だから、これからの石田さんが話す内容を聞いていると次の段取りが狂ってしまうからです。(でも、私はそういう熱い石田さんが好きです。)

 

それから約1時間が過ぎて、段取りも出来たので店へ戻ると、奥様は石田さんの話に十分納得されていたようで、「これからテレキャスターを違う角度で見れそうだ」と、話されて帰っていかれました。

石田さんは、「まだ、話し足りないなあ・・・」というような顔をしながら、自分の同じ年同じ月のストラトを弾いていました。

 

こうして早春の土曜の午後は過ぎてゆく・・・・・。 いと楽し。

 

 

ps:○川様の奥様は、非常に静かで優しい性格で、いつもご主人をたてていらっしゃる素敵な方です。私達は心から敬意を払っています。ねえ、ご主人。