27. 10月 2000 · [EPISODE 39]釈迦に説法?オリジナルPBassの弾き方。 はコメントを受け付けていません · Categories: 過去の四方山Episode1〜

昨日のこと。 渋谷店に到着してしばらく経った時、有名なベテラン・ベーシストZさんが友人と店に入って来られました。Zさんは、7時にNHKで仕事があったのでその前に寄ったとの事でした。仲や大ちゃんは、以前からご縁があったようでしたが、私は今回初めてお話させていただきました。

ご挨拶した後、さっそくジョー・サトリアーニ元所有のJB’69を音出していただきました。Zさんは、今70年代のPBと古いJBをメインで使っているので、それを基準に他のベースを判断されているようでした。

 

Zさん:「ヴィンテージは良いけど高いね。良いのはわかるけれど・・・。そういえば、この間200万円近い値段の綺麗なJB’60があったけど、あれどうした?売れたの?」

私:「ハイ。先々週に販売しました。」

Zさん:「ひぇ~!売れるんだね!どんな人が買ったの?」

私:「ずっと探されていた人です。価格は別にして、欲しいと思って探しているギターに出会ったなら、皆さん即決されます。」

Zさん:「へぇ~、そういうもんかねえ。」

Zさんの友人:「そうですよ。金があっても縁がなければ買えないからしょうがないですよね。」

 

Zさんが一緒に来た友人に「何だか。嬉しそうだな!」と聞くと、

 

友人:「当たり前でしょ。だって、こうやってギターに囲まれていると、ギター好きにはたまりませんよ。僕ならここで寝れるな。」

Zさん:「そうなの?ギターってそんなにいいのかい。俺は長い間仕事で使っているのでそこまでは入り込めないな。」

と言ってZさんは1952年製のオリジナルPBassを見ながら、

Zさん:「あのテレベースを弾いても良いかな。」

私:「ああ、この初代PBassですか。」

Zさん:「そういえばそうだな。古そうだなと思っていたけれどオリジナルだ!1952年製か、俺よりも2歳下だ。」

Zさんにベースを渡すと「軽い!それから懐かしいフラット弦が張ってある」と感動されていました。

 

今まで私の経験では、初めてオリジナルPBassを弾く時に普通のベースと同じ強さで弾くと、アタックが強すぎてブチッという音になってしまうことが多いです。Zさんは、普通の人以上に強いアタックだったので、弾かれる前に少しアドバイスをさせてもらうことにしました。

 

私:「あの~、釈迦に説法?かもしれませんが、このオリジナルPBassを指弾きする時のコツは、弦に対して指を垂直に弾くよりも、指をブリッジのほうに逃がすように動かして弦を撫ぜるように弾くとアタックが潰れないですよ。アメリカのパートナーが元ブレンダ・リーのベーシストで、昔にこのコツを教えてくれました。」

Zさん:「本当だ。元々太い音だから強くアタックする必要がないや。音の粒立ちも整うのでいいね。」

私:「オリジナルPBassは発売当初、教会バンドなどで女性に弾かれたこともあって、女性が初代オーナーだったベースも多かったようです。このベースはわかりませんが、以前仕入れた同モデルは初代オーナーの女性から譲り受けました。」

Zさん:「なるほど。」

 

Zさんはしばらく”ドッグ・オブ・ベイ”のリフや懐かしい60’sのベースリフを弾かれて「この音だ。この雰囲気だ。もうすでにイコライジングして完成した音になっている」と感心されていました。

 

Zさん:「う~ん、いいけど、98万円か~。」

私:「でも、ベーシストはお得です。ギタリストがこのようなヴィンテージ・ギターでしか出ない音を手に入れるためにはもっとお金を出さなければなりません。」

友人:「そうですよ。Zさん。」

Zさん:「それもそうだな。知り合いもここで高いLPを買ったって言ってたっけ。それの何分の一の値段か~。」

 

帰り際、Zさんが「プラズマ・テレビを買うか、このPBを買うかだな。」と言われて、NHKへ行かれました。

 

終わり。