4月20日(土)、名古屋で開催しましたヴィンテージ・ギター・サウンド・ライブへ今回もたくさんの方にご来場いただきまして、誠に有難うございます。時間が押して11時を少し回ってしまいましたが、それにも関わらずたくさんの人に残っていただき、とても感謝しております。また、機会がありましたら開催したいと思いますのでよろしくお願いします。
今回は、このライブで2年ぶりにLPstd’59(ナンシー)を弾いたお話をしたいと思います。まあ、弾いたと言うか、遊んだと言うか?遊ばれてしまいました。
LPstd’59を久しぶりにライブで使うことに決めて以来、最近アドリブ構成がEXやストラトを弾いていた関係で、どちらかというとクラプトンや若い頃のディッキーさんのような起承転結がはっきりしたスタイルになっていたので、音余りや音足らずを恐れない?Duane Allmanスタイルへ戻す練習を開始しました。
せっかくなので、ギターの顔も変えたくて、今までつけたことのないピックガードを装着しました。
弦の巻き方も、オリジナルLPにはやっていなかったテールピースのブリッジ側の穴から弦を通してテールピースの上を通過させる張り方にしました(勿論テールピースはオリジナルを使いません)。
この弦の張り方にしたのは、昔から気になっていたDuane Allmanが出す独特な音色をもう一度研究したからです。
その音色とは、単音でアドリブを弾いている時、腰がある割にフワ~ンとゆるくテンション感のない音のことです。特にチョーキングした時のゆるゆる感はたまりません。音程が合っているかどうかわからない宇宙的な音です。その昔、この音の出し方を研究した時に、この音色を出すにはレスポール+マーシャルかフェンダーアンプ+アルニコJBLスピーカー+010~038のフェンダーロックンロール弦+弦のテールピース逆巻+左利きが右で弾く、と思いました。当時は、その音に近づきたくて、できるだけ同じようなセットで演奏しました。しかし、時間が経過するうちに音色の好みが徐々にガシッとしっかりした音に変わっていき、その音を出し切れないまま彼の音色を追及しなくなっていました。
それが、年末にオリジナル・レコード盤にはまった時のことです。Duaneを好きになる前に大好きだった、マイケル・ブルーム・フィールドの「永遠のフィルモア」のアメリカ盤を買って、渋谷店で聴きながらなんとなくジャケットに写っている彼のレスポールを見ていました。そうしたら、なんと、彼もDuaneと同じように弦をテールピース逆巻に張っているではありませんか。もっとも、彼のほうがDuaneよりも先輩で、一緒にレコーディング・セッションをやった時にDuaneのほうがそれを真似たかもしれませんが・・・・。そのことは又にして、私はマイケルが1970年代に入ると、もうこの弦の張り方をしてなかったので全然気がつきませんでした。レコード盤を倉庫に入れて十何年も見ることがなかったので、もう一度レコード盤にもう一度はまって良かったです。
そのマイケルのレコードを改めて聴くと、日本盤では聴き取れなかったゆるゆる感のある音が赤裸々に聴こえてくるのです。マイケルのほうがブルース色が濃いフレーズなのですが、両者に共通するゆるゆる感な音は、スカッとはしていませんが、型にはまらない素晴らしい音です。
余談ですが、このライブ盤でハットしたのは、ブルースセッションの鉄則”2コーラス弾いたら選手交代”という枠がないのです。乗ったら何コーラスも弾ききる!というかっこよさが良かったです。ちなみに私も、今回のライブでブルースの時に6コーラス以上1人で弾きたいだけ弾きました。快感って感じ!
今度は、Duaneがドミノスに飛び入りしているブートレグを聴きなおしました。オールマンブラザーズよりはっきり聴こえます。期待していた通りのゆるゆる加減でした。
この間、長崎のHさんがLPstd’59を買いに来ていただいた時も、その音を得るためには、010セット弦をテールピース逆巻で張るか、それとも090セット弦を張ったほうが良いか?ずっと二人で話していました。Hさんは090セット弦派、私はずっと010セット弦派。Hさんから「絶対に090セット弦のほうが、事故で痛めた左肩の将来ためには良いと思うよ」とアドバイスしていただきました。Hさんに買っていただいたレスポールに090セットが張ってあったので、二人で010セット弦が張ってある私のレスポールと弾き比べました。結局、私は010セット弦の指に触る存在感が必要なので、010セット弦のテールピース逆巻であの音が出なければ、第二段階としてグローバーからクルーソンへ糸巻を戻して音を軽くし、もう一度逆巻で弦を張ってみる。第三段階としてそれで納得がいかなければ090セット弦にしてみることにしました。
結果は、最初の段階で結構同じような感触がつかめたので、あとはピッキングをもう少し変えたり、フレージングの組み立てを変える、最後に彼のテクニックに追いつく!・・・・ってなわけないね。
予想通り、このライブで、弦の張り方を変えたことによって理想の音が出ることは出ました。しかし、長年弾き慣れたギターのテンションが変わってしまい、早弾きはしやすくなったが、持ち前のタメが出来にくくなって苦労しました。
最近のステージで、自分でもびっくりするぐらい単純なミスが続いている上に
、アドリブスタイルも変えている最中だったので、思うように弾けないまま最後の曲まで行ってしまった感じでした。
今回は、”レスポールと遊ぶ”と余裕こいてたら、逆に”レスポールに遊ばれてしまいました”。勉強不足でしたね!反省しきりです。
それでも、さすが古女房。私がトッ散らかってていても、DATで聴くとすごい音で鳴っていてくれました。
次回の5月8日東京のライブまでには、もう少しマシに弾けるように修業します。ハイ。
このライブの模様は、長くなったので次回の[EPISODE 45]で書くことにします。
つづく。