26. 10月 2000 · [EPISODE 22]”博多通りもん!”の巻 はコメントを受け付けていません · Categories: 過去の四方山Episode1〜

博多周辺でレスポールとストラトをブイブイ言わせているレオスキ(レオタード・スキナード)の皆さんは実に面白い!特に、3人ギタリストのFさんご兄弟とSさんとの絡みが絶妙です。バンド名はレイナード・スキナードをもじった?名前ですが、実は皆さんの好みは千差万別のようです。F兄弟のお兄さんは、”博多Duane”と呼ばれるレスポール弾きの達人。ストラトを弾く弟さんは、レイボーン並みのバカテクに加えてMCのプロ!これがまたすごい!彼に話をさせたら果てしなく続いてしまうので、メンバーはできるだけしゃべらせないようにしているぐらいだそうです。Sさんは、パワフルなF兄弟に押され気味?かと思いきや、レリック・クラプトンと呼ばれるぐらいクラプトン大好き男で、F兄弟に負けず劣らずしっかり主張されています。

昨年暮れから、そんな仲の良いレオスキの皆さんの間で、今度Sさんにご購入いただくギターの件でちょっとした意見の食違いがあったようです。それは、Sさんの”ヒストリック・エクスプローラ(以下EX)のボディをクラプトンのようにカットしたい”というご要望に対して、F兄弟の絶対にそれを阻止するという意見です。先日も、ご両人から「どうしても夢に近づけたいので切りたい!」、「切らないように説得してくれ」という電話を同時間にいただき、Sさんとあらゆる角度から検討した上、最終的にはSさんの判断にお任せすることになりました。しかし、これは1970年代以来の「究極の選択」と言われており、本来なら絶対にオリジナル性を損なわないようにする事が正しい選択なはずなんですが、本人と同じものを所有したいという願望も理解できるので、いつも結論はまちまちになってしまいます。ジョンのリッケン#325’63、ナチュラルに剥がしたカジノ、ポールのリッケンベース、ジミーペイジのダブルネック、そしてクラプトンのカットされたEXなど、その人が使ったギターで同年代のものが見つからない、又はオリジナルに手を加えない限り同じスタイルまたは色にならないギターは本当に罪つくりです。

 

 

以下は私からこの間、Sさんへ送ったメール内容です。

 

Sさん、こんにちは。

昨日は、ヘビィな攻防でしたね。あの後、すぐにFさんから電話をいただきまして、とりあえずSさんがボディカットするのを思いとどまってくれた事を喜んでおられました。オリジナルを大切にするFさんの意見もごもっともですし、Sさんの自分にもっとも影響を与えた時のクラプトンが弾いていたギターに近づけたいというお考えにも賛同できますので本当につらい立場です。

私の場合も、本来オリジナルをいじる事が嫌いなので、通常ならボディをカットすることは絶対にノーです。でも、私自身も大のクラプトン・ファンですし、Sさんと同じく1974年の初来日で初めて彼を見た強烈な印象と、その時に使っていたこのカットされたEXには大ショックで、同時に翻弄されました。それは、同世代のギタリストのほとんどが同じだったのではないかと思います。この業界に入ってからトラウマのようにオリジナルEX’58があると仕入れていましたし、今考えると常にどこかでこのギターを追いかけていたのではないかと思います。数年前にカットされた本物を預かった時、「ついにめぐり会えた」という気持ちと、「このスタイルはひとつのオリジナルだな!」と確信しました。本当に完璧なフォルムだったのです。大昔にクラプトンのEXをボディカットした人達と話す機会があって、彼らが修正できないボディを切る事を決めてから、少しづつ切りながらいかに弾き易くそして持ち易いように整形していった苦労話を思い出しました。だから、Sさんのお気持ちも重々理解できるつもりです。

それにしても、Sさんさすがですね。ご自身の希望を通したくとも、四方を丸く治めることをまずは優先されるとは!恐れ入ります。もし、それでもSさんがカットしたくなった時には、Fさん達もその思い入れを理解してくれるのではないかと思います。

 

 

その後、レスポール・フリークのFさんもなぜかEX病にかかってしまったようで、今年になってSさんと連番のEXをご購入いただきました。

おしまい。

 

 

ps:岐阜のYさん、ご協力有難うございました。