普段、レスポールを弾いているギタリスト(以下LPマン)が、たまにストラトでアドリブを弾くと、音詰まりしたりフレーズが出なくなったりして、レスポールを弾くようにうまく演奏できない場合があります。これは、レスポールとストラトの材質・形状・ピックアップ等の特性が違うためです。
レスポールの特性は、音のふところが深いことです。太い音とロング・サスティーンが効き、決して機敏ではないですがピッキングの強弱だけでも音質を変化させることができます。豪快さと繊細さが相まって、色々な感情表現ができることが特徴です。
一方のストラトは、レスポンスの速さからギタリストが弾いた通りに素直に音が出ます。レスポールのようなロング・サスティーンを得られない代わりに、6本の弦の1フレットから21フレットまで、安定した音が出せることも魅力です。
では、LPマンがレスポールとは特性の違うストラトを攻略するためにはどうすれば良いか?私なりに感じていることをお話したいと思います。
まず、先にお話したレスポールとストラトの特性の違いを念頭におき、ご自身の得意なフレーズや演奏スタイルのどの部分がストラトにマッチしているかどうか判断します。これには、個々のセンスが重要な判断基準となりますが、レスポールで弾くと優れたフレーズや演奏方法も、ストラトで弾くとあまりはまらない場合もあることを認識する事です。
その後に、アドリブの組み立て方を考えます。いつもレスポールを弾いていると、その特性を利用したチョーキングやビブラートを多用したロング・サスティーン中心な豪快なアプローチになっています。それを、ストラトの音切れの良い特性を利用した多彩なフレーズや3連符を多用する繊細なアプローチへと、アドリブの組み立てをやり直します。
次に、ピッキングの仕方もかなり肝になりますので、最重要事項として捉えます。ストラトは、音の立ち上がり方がピッキングより遅れ気味に出てくるレスポールよりもすばやく反応してくるので、ゴリゴリ押さえつけるやり方から少し力を押さえぎみなピッキングの仕方にします。そのほうが素直な優しい音が出やすくなり、ストラト本来の枯れたサウンドの魅力を引き出すことができます。ピッキング・ハーモニクス奏法等の独特なサウンドなどを魅力的に引き出すためには、このピッキング・テクニックが不可欠です。
先日、自分もストラトを久しぶりにステージで弾きました。わかっていても、最初はどうしてもレスポールを弾くような力が入ったピッキングをしまいました。そうならないように、”巨人の星”の伴宙太みたいにしばらく逆立ちして腕の力を抜いてからステージへ上がるのもひとつのテクニックかもしれません。
この話は、010セット弦を張り、ピックの硬さをヘビィを用い、フェンダーアンプ接続してノン・エフェクターでストラトを弾く事を前提にして書きました。ストラトをマーシャルにプラグインしたり、エフェクターを使用した場合は、条件も用途や目的とするサウンドも違ってしまうので上記の限りではありません。
最後に、ストラト・マンがレスポールを弾く時はこのまったく逆になります。ストラトを弾く時よりも左手でしっかりネックを握り、思いっきりピッキングしないと音に表情が出ません。
つづく。